相続において寄与分を請求できる要件や注意点を解説
相続は、故人の財産を引き継ぐ重要な手続きです。
しかし、被相続人の生前に特別な貢献をした相続人がいる場合、その努力を評価し、その評価に応じて相続額が変化する制度があります。
それが「特別寄与分」と呼ばれるものです。
今回は、この特別寄与分について詳しく解説していきます。
特別寄与分とは
特別寄与分とは、被相続人の親族のうち、相続人ではない人が、被相続人の財産の維持や増加に特別に寄与した場合、相続財産の一部を優先的に得られる権利のことです。
この制度は、被相続人への貢献度を相続に反映させることで、公平性を保つ役割を果たしています。
寄与分は相続人だけでなく、一定の条件を満たす非相続人にも認められる権利であり、相続の際に考慮すべき重要な要素となっているのです。
特別寄与分が認められる要件
特別寄与分が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 相続人による被相続人の財産維持・増加への貢献
- 特別の寄与であること
- 無償性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相続人による被相続人の財産維持・増加への貢献
被相続人の事業へ貢献や、財産の管理、療養看護などが該当します。
単なる同居や日常的な世話では不十分で、特別な貢献が求められます。
特別の寄与であること
一般的な範囲の貢献ではなく、被相続人の人生に大きく影響するほどの貢献である必要があります。
たとえば、長期間にわたる介護や、事業の発展に大きく寄与した場合などが考えられるでしょう。
無償性
寄与行為が無償で行われたことが条件です。
すでに報酬を受け取っている場合は、特別寄与分として認められない可能性が高いです。
特別寄与分の具体例
特別寄与分が認められやすい具体例をいくつか挙げてみましょう。
- 被相続人の事業を手伝い、売上増加に大きく貢献した
- 長期間にわたり、献身的な介護を行った
- 被相続人の財産管理を任され、資産価値を大幅に増加させた
これらは、あくまで一例です。
実際の判断は個々の状況に応じて行われることに注意が必要です。
特別寄与分の請求方法と注意点
特別寄与分を請求する際は、以下の手順と注意点を押さえておきましょう。
- 請求のタイミング
- 立証責任
- 特別寄与分の算定
- 他の相続人との調整
請求のタイミング
特別寄与分の請求は、遺産分割協議の際に行います。
協議が整わない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになります。
立証責任
特別寄与分を主張する相続人は、自身の貢献を証明する必要があります。
日記や介護記録、事業の経営資料など、客観的な証拠を用意することが重要です。
特別寄与分の算定
特別寄与分の具体的な金額や割合は、様々な要素を考慮して決定されます。
貢献の程度、期間、他の相続人の状況などが総合的に判断されるのです。
他の相続人との調整
特別寄与分の主張は、相続額に差を生じさせる可能性があるため、他の相続人との関係に影響を与えるかもしれません。
円滑な相続のためにも、事前に十分なコミュニケーションを取ることが望ましいでしょう。
まとめ
今回は特別寄与分について、その定義、認められる要件、請求方法と注意点を解説しました。
しかし、その認定には厳格な要件があり、立証責任も請求者側にあります。
相続に際しては、専門家のアドバイスを受けながら、公平かつ円滑な財産分配を目指すことが大切でしょう。
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2009年 12月 弁護士登録(大阪弁護士会)
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2000年 3月 大阪府立三国丘高校 卒業
2005年 3月 大阪大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪大学大学院 高等司法研究科 修了
2009年 12月 弁護士登録(大阪弁護士会)
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2005年 3月 大阪大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪市立大学大学院 法曹養成専攻 修了
2008年 12月 弁護士登録(札幌→和歌山→大阪弁護士会)
2012年 9月 和歌山市 任期付公務員弁護士
2016年 4月 近畿財務局 任期付公務員弁護士
2020年 4月 茨木市 短期任期付公務員弁護士
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