カルテ開示請求・証拠保全手続きとは
医療過誤の訴訟は、医師側の過失責任を立証することが大変難しく、難しい訴訟類型の一つです。その理由の一つに、情報収集・証拠収集の難しさがあります。患者の情報や、治療情報、投薬情報、治療経過の情報は医療機関側が全て保有しており、患者側は、医療機関から提示された情報しか持てないからです。そして、民事裁判において要求される証明の程度は、「通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要」とします(最二判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁)。このような高いレベルで医師側の責任を立証するためには、それなりの根拠を要します。そのため、医療過誤訴訟で良い結果を得るためには、証拠収集がカギとなります。
証拠収集の主な手段は、カルテの開示請求(診療情報開示請求)をすることです。病院には、患者または弁護士からカルテ開示を請求された場合に原則としてカルテを開示する義務がありますから、基本的にはこれに応じます。多くの場合、病院の窓口でカルテ開示のための書類を記入し、手数料や作成料を支払うことで、数日から数週間後にカルテのコピーがもらえます。ただし注意しなければならないのは、カルテは、残念ながら改ざんされてしまう可能性が否定できないということです。特に、医師側が医療上の過失を隠すためにこのような行為に出ることが多いようで、何例か裁判で確認されています。
こうした改ざん行為を可能な限り防止し、確実に証拠として利用するための手段として、証拠保全手続というものがあります。これは、裁判所を通じた手続きですが、訴訟提起前でも可能です。病院側が文書を廃棄または改ざんするおそれがあることを裁判所に疎明し、申立てが認められれば、裁判官と患者側の代理人弁護士が病院に行って診療録等をコピー、撮影します。病院側への通知は、裁判官が訪問する数時間前ですので、病院側としては、証拠を改ざんする余裕はほとんどありません。
証拠隠滅のおそれがないため大変有効な手段ですが、費用が実費を含めて25万円程度必要ですので、証拠保全の必要があるかは慎重な検討が必要です。
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弁護士 有田 和生(アリタ カズキ)
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- 所属団体
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大阪弁護士会
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- 経歴
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1997年 3月 智辯学園和歌山高校 卒業
2001年 3月 立命館大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪大学大学院 高等司法研究科 修了
2009年 12月 弁護士登録(大阪弁護士会)
弁護士 權野 裕介(ゴンノ ユウスケ)
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- 所属団体
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大阪弁護士会
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- 経歴
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2000年 3月 大阪府立三国丘高校 卒業
2005年 3月 大阪大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪大学大学院 高等司法研究科 修了
2009年 12月 弁護士登録(大阪弁護士会)
弁護士 常谷 麻子(ツネヤ アサコ)
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- 所属団体
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大阪弁護士会
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- 経歴
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2000年 3月 北海道立釧路湖陵高校 卒業
2005年 3月 大阪大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪市立大学大学院 法曹養成専攻 修了
2008年 12月 弁護士登録(札幌→和歌山→大阪弁護士会)
2012年 9月 和歌山市 任期付公務員弁護士
2016年 4月 近畿財務局 任期付公務員弁護士
2020年 4月 茨木市 短期任期付公務員弁護士
その他公務
大阪市行政不服審査会 委員
大阪労働局公共調達監視委員会 委員
事務所概要
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