医療訴訟において患者側の勝率が低いのはなぜ?
■ 医療訴訟について
医療訴訟とは、不適切な医療行為によって患者が被った被害(死亡や後遺障害)が存在する場合に、それについて患者側が損害賠償請求の訴訟をすることを医療訴訟や医療過誤訴訟と呼びます。日本における医療訴訟の受理件数は約800件程度とされていますが、そのほとんどは患者側の敗訴という形で終結しています。平成28年から現在の裁判所の統計によりますと、医療関係訴訟の患者側の勝訴率は概ね20%前後というのが実態です。
■ 患者側の勝率が低い理由
では、なぜ、患者側の勝率が低いのでしょうか。
医療訴訟において負ける最も大きい理由の1つが証拠の少なさです。医療現場において、まず証拠となりうるものがカルテです。民事事件において訴えを主張するものは、その証拠となるものを提示しなければなりません。医療事件におけるその証拠は、カルテなどの診療記録やCT・MRIなどの画像記録にとどまってしまいます。その中から医師の施した医療行為に過失があったことを証明するのは、非常に困難となってしまうからです。仮にカルテ等に過誤の重要な情報があったとしても、病院側がその部分について情報開示をしないといったこともあり、原告側の主張を正当化する根拠になるものを示せないケースとなってしまいます。
また、医療訴訟は通常の訴訟に比べてその専門性が非常に高いことから審理に長期の時間を有することがほとんどです。平均的に審理期間は約5年程度を要すると言われています。そのような長期の審理によって、患者側が諦めるといったことも稀ではありません。
一方、病院、医師側の医療行為の過失が明らかな場合はどうでしょうか。この場合、実は判決までいかないという形で終結しています。どのように解決しているのかというと、病院側が示談や和解を要求し、判決前に紛争が解決されることとなります。これも医療訴訟において患者側の勝率が高くないという要因になっています。
医療訴訟では、民事訴訟によって損害賠償を請求することになりますから、その証拠の収集、保全、主張、立証までさまざまな法的問題が介在しています。そこに高度な医学知識をもって訴訟に臨まなければならず、弁護士や医療関係者の専門家の存在が必要不可欠です。
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弁護士 有田 和生(アリタ カズキ)
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- 所属団体
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大阪弁護士会
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- 経歴
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1997年 3月 智辯学園和歌山高校 卒業
2001年 3月 立命館大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪大学大学院 高等司法研究科 修了
2009年 12月 弁護士登録(大阪弁護士会)
弁護士 權野 裕介(ゴンノ ユウスケ)
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- 所属団体
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大阪弁護士会
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- 経歴
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2000年 3月 大阪府立三国丘高校 卒業
2005年 3月 大阪大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪大学大学院 高等司法研究科 修了
2009年 12月 弁護士登録(大阪弁護士会)
弁護士 常谷 麻子(ツネヤ アサコ)
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- 所属団体
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大阪弁護士会
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- 経歴
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2000年 3月 北海道立釧路湖陵高校 卒業
2005年 3月 大阪大学法学部 卒業
2008年 3月 大阪市立大学大学院 法曹養成専攻 修了
2008年 12月 弁護士登録(札幌→和歌山→大阪弁護士会)
2012年 9月 和歌山市 任期付公務員弁護士
2016年 4月 近畿財務局 任期付公務員弁護士
2020年 4月 茨木市 短期任期付公務員弁護士
その他公務
大阪市行政不服審査会 委員
大阪労働局公共調達監視委員会 委員
事務所概要
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- 02地下鉄四つ橋線肥後橋駅から徒歩1分
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